歳を重ねていくと家族が増えたり、仕事や育児が終了して旅行や趣味に没頭できるなど良いことが多い反面、若いころに比べて
身体が自由に
動かなくなったり、
免疫力の低下によって様々な疾患にかかりやすくなったりします。
今回ご紹介する
脊柱管狭窄症も老化が原因で引き起こされる事が多い
背骨の疾患で、発症している部位によって人体に様々な影響を及ぼします。例えば
老化によって
筋肉量が減る、
関節が悪くなるといったことは想像に難くないと思いますが、
骨が老化していくと
厚くなったり、反対に
スカスカになったり、
変形したり、というように老化していきます。
それでは詳しく確認してまいりましょう。
脊柱管狭窄症とは?
この疾患を説明するには初めに
背骨の構造から説明すると話が早いと思いますので、そちらから解説してまいります。人体の
骨格模型をご覧になったことがある方は多いと思いますが、人間の背骨は
椎骨(ついこつ)と呼ばれる
積み木のような骨が重なるようにして出来ています。
そして
椎骨はその上下を
椎弓(ついきゅう)という骨でつなげることによって強度を保ち、
前後左右の身体の傾けやちょっとした衝撃を吸収して骨同士が
離れないようになっています。また
椎骨と
椎骨の間に何もなければ硬い骨同士がぶつかりあい、削れてしまうので、これを回避するために椎骨の間には
椎間板というクッションが入っています。
また
椎骨の中心には穴が開いていてこの中を
脊髄が通っているわけですが
脊髄は脳と身体をつなぐ大切な
神経束なので、これを
脊柱管という
膜がガードしています。ちょうど
脊柱管がホース、そして
脊髄がその中を通る、水のような関係性というとイメージしやすいかもしれません。
そして、冒頭にもある通り、この
椎骨や
椎間板が加齢によって
肥厚(ひこう)したり、
変形したり、椎間板が
突出したりすることで脊柱管が狭められ、脊髄を圧迫して症状が現れるのが
脊柱管狭窄症というわけです。
タイプ別にみる症状
前章の補足にもなりますが、
背骨というのは、
頭から首にかけて7個、
首から背中に12個、
背中から腰に5個、骨盤の一部の
仙椎と呼ばれる個所に5個、尾骨にあたる
尾椎に4個、合計
33個の骨が積み重なって出来ています。
特に
脊柱管狭窄症の症状が見られやすいのが
首回りと
腰回りです。専門的な言い方をするとそれぞれ首周りは
頚部、腰回りを
腰部と呼びます。
例えば
頚部に
脊柱管狭窄が起こると
腕のだるさ、
手指に力が入らない、
指先や肘のあたりにしびれと痛み、肩や首まわりの
コリ、
倦怠感などの症状が見られ、
腰部に
脊柱管狭窄が起こると、
腰の重みや痛み、
腰回りに違和感、
排尿障害、
間欠趾行(かんけつはこう)などの症状が現れるようになります。
また
脊柱管狭窄症は原因になる疾患が多くあり、ここで少しご紹介しようと思います。例えば
変形性脊椎症、これは加齢によって
椎間板の機能がなくなっていき、骨同士がこすれあい、
骨棘(こっきょく)と呼ばれるトゲのようなツッパリが骨に現れたり、
椎間板の機能を補うように脊髄の後ろ側に位置する上下の骨を連結させる靭帯が厚く変化して脊柱管に影響を及ぼします。
他にも
脊椎分離すべり症、この疾患は高齢の女性によく見られますが、
椎骨同士をつなぐ
椎弓が外れて背骨が不安定になり、
椎骨が前後に
ズレてしまうことでやはり脊柱管を圧迫してしまうものです。女性の場合、更年期を過ぎると
ホルモンバランスが変化し、
骨の強度が下がる傾向にあり、それが原因で起こる時もあれば、重たい荷物を持つ職業を長年続けている、普段から座りっぱなしの職業についている方にも見られる疾患です。
そして最後に
腰部椎間変性、先に椎間板の働きは
椎骨同士のクッションの役割を果たしていると説明しましたが、
椎間板の中心には水分を含んだゼリー状の「
髄核」があり、周囲は「
線維輪」という組織が守っています。
しかし、加齢によって
椎間板の水分が減少していくことでクッションの役割を果たせなくなり、結果、
椎間板の変形や消失がおこって、やはり脊柱管に影響を及ぼすようになります。
まとめ
今回は
背骨の構造や
脊柱管狭窄症を引き起こす疾患などについて記事を書いてまいりました。文中でも触れている通り、こういった
骨に関わる疾患は男性よりも
圧倒的に女性に起こる確率が高く、特に更年期を過ぎてからは
注意が必要です。
また男性でも女性でも
歩行困難や
排便異常などが起こるとどうしても
出不精になって家に引きこもってしまったり、友人とも疎遠になってしまうものです。しかしご家庭内で仕事が割り振られるなど何かしらの役割がないと、加齢によって徐々に動かなくなる自分の身体に嫌気がさしたり、自分は社会から必要とされていないのではないか、といった
孤独感から老人性の
うつ病になってしまう方もいらっしゃいます。
ですから
脊柱管狭窄症の症状が現れたらなるべく早く専門家に相談して早めに対処するとともに元気なうちに朝・晩の
ストレッチを習慣にする、あるいは
ジョギングをするなどして脳と身体を活性化できるように生活習慣を改善することをお勧めします。